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ものづくりが好きな塾講師のブログ

今夜は夫がいない。

久しぶりの出張による不在。

 

2年近く担当して見ている中学生の生徒の親から連絡がきた。

帰ってこない、連絡がつかない、塾にきていませんか?

三回くらい連絡がきた。授業が終わって、夜の街を歩き回った。

中学生の行きそうな場所。ベンチのある場所。いまどきの中学生は喫茶店とかに行くんだろうか?彼女は確かあのビルのベンチに座った話をしていたことがあったな…駅のあちら側から歩いてくるのを見かけたことがあるな…記憶を辿って、気になる場所を探せど見つからない。塾に連絡はない。この街は手がかりもないままに探すには広すぎる。私は諦めて帰路に着いた。

一昨年の夏、担当していた双子の兄の方が失踪した。突然荷物を全部置いてどこかへ行ってしまったと弟は言っていた。その後、お母さんが見つけて、本人が謝りの電話を入れてくれた。その後はどう接したらいいかわからなくて、後日会っても特にそのことについて触れなかった。

子ども一人見つけるのは、東京じゃ難しすぎる。

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

 

 上下巻とも読み終えた。勧めてもらって、買って、随分放置していた。

先週、大学に通う合間に読み始めて一週間弱で読み終えた。

この人の本はかつて「子どもたちは夜と遊ぶ」も読んだのだが、

ストーリーはまあ面白いと思うのだけれど、どうも書き方が苦手だ。現実っぽく書こうとしているようでSFかと思うくらい浮世離れしていて、その違和感がどうも苦手だ。

今日はまた、勧めてもらった本を買ってきた。

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)

 

 本屋ではなかなか見つからなかった。レジに一人だけ店員がいて、その眼鏡をかけた不安そうな店員に「舟を編む、はどこにありますか」と聞いたら、パソコンで探して、本棚に駆け寄って、またパソコンのところへ戻ってきて、また、本棚に駆け寄っていったので、付いていったら「すすみません。新人なので…まだよくわかってなくて…社員さんを呼んできます」って小さく呟いてどこかへ駆けて行ってしまった。そのうち、背後から声をかけられて、社員と思わしき人が『舟を編む』の文庫本を持って立っていた。「ハードカバーはありませんか」と尋ねると、ハードカバーのあるコーナーへ行って探す振りをして「ないですね」って言った。「そうですか…本の内容とハードカバーの装丁が繋がってるって聞いたもので」なんて、世間話程度に話を振ったつもりだったのに「古い本なんで置いていませんね」って強めの語気で言われて。まあ、東京の他人なんてそんなもんだよなって思いながら文庫本の『舟を編む』と『それから』(無料の電子書籍で途中まで読んで放っていたので)を買った。

 

最近は手がカサカサで、

年末に立ち寄ったロクシタンのサンプルのハンドクリームが忘れられなくて、ロクシタンでお買い物したいなあと思ったり

結婚指輪を生活上つけることに慣れてきて、他の指輪、例えば右手の小指用に細くて存在感の薄い、だけどちょっと可愛い指輪なんかが欲しいなあと思ったり

そのくせ、家の中で捨てるものを探してる。家からいらないものを減らさなければという妙な義務感に駆られている。

 

仕事はあんまり順調とは言えない。中学受験直前のこの頃、上手くいってる感なんて微塵もない。今年も2月1日は見送りに行く。起きられるかな。寒いだろうな。私はまた今日も余計なことを言った気がする。いつもミスってばかりだ。いつだって失敗ばかり。周りもまたかと思っているだろう。今は失敗すればいい、本番はあの世なんて聞くけれど、やっぱり失敗は気になる。でもどうせ、ここには留まらないのだからいいやって思うことにしている。あくまでも目的はお金を稼ぐことであって、私の代わりなんていくらでもいる。歯車のひとつとして回転して、お金を得ているだけ。

生徒の捜索はお金にならない。お腹が空いて、足が痛くなるまで歩き続けて、お金にならないことをして何しているんだろうって考える。だって彼女がいなくなったのには、塾は関係ない。今日は彼女の授業はない日だ。でも探す。連絡を待つ。私は、生徒に愛着とかそうゆう類のものを寄せてしまうのが嫌いだ。距離を置いていなければと思う。仕事はお金のため。愛着のために動いても得るものはない。どうせ、生徒なんてあっという間に成長していって、私の存在なんて忘れて、名前も思い出されなくなっていく。愛着なんていらない。どうせ忘れ去られてしまう。そのはずなのに、どこにいるんだろうと思う。帰国子女の彼女。日本ではこの街しか知らない彼女。水族館へ行ったことがないから行ってみたいという彼女。塾を辞めたら彼女を水族館へ連れて行ってあげたいと思う。お金にならないのにどうしてそんなことを思うのだろう。

だから塾講師を続けているんだろうなあと思う。早く帰ってこいよ。心配なんだよ。