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ものづくりが好きな塾講師のブログ

電車に乗っていた。

いつもはスマホに噛り付いているのだけれど

この日はスマホの充電を切らし、文庫本を片手に持って、立ったまま電車内で読んでいた。

混んでいる程ではないが、椅子は全て人で埋まり、立っている人がちらほらいる。

私も例に洩れず座れなかった類の人間であり、発車ベルの鳴り響く新宿駅から乗った、何処にでもいる一人だった。


目は字を追う。

追えど追えども内容に追いつけず、文字を一つ一つ握りしめるようにして内容に齧り付く。

不意に車両の奥に気を取られる。

目が合う人はもちろんいない。嫌いな吊革の下で(だって知らない人々が触った場所じゃない)本だけを掴んだ私が立ち尽くしているような気がしてしまう。


知らない顔ばかりが渦目いて

全く関係のない人たちが

誰とも目を合わさず

それぞれの生活の中にいて

それは違う世界に生きていると言っても比喩でもなんでもない。

同じ場所にいながら、皆、自分自身のテリトリーを守って、区切られた小さな空間の中で自分だけの世界にいる。

当たり前のその現象を不意に気付かされて可笑しくなる。


早くお家に帰りたい。